冗談みたいな話だけど、本当に打ち上げる。
Googleは現在、「Project Suncatcher」という研究プロジェクトを進めている。目的は、Google製のAIチップ「TPU」を宇宙へ送り、将来的に宇宙空間へ大規模なAIコンピューティング基盤を作れるか検証すること。
そして現時点では、2026年10月1日にその最初の軌道上テストが予定されている。打ち上げ予定時刻は協定世界時(UTC)で10月1日18時18分。日本時間では10月2日の午前3時18分なので、日本からだと10月2日未明の打ち上げになる。
10月1日、GoogleのTPUが宇宙へ
今回使われるのは、SpaceXのライドシェアミッション「Transporter-18」。Googleは衛星企業Planetと協力して試作衛星を開発し、4基のTPUを宇宙へ送り込む予定だ。
とはいえ、いきなり宇宙でGeminiをぶん回すわけではない。今回まず確かめたいのは、
「そもそもAIチップって宇宙でまともに動くの?」
という、かなり基本的な部分だ。
ロケット打ち上げ時の激しい振動や加速度。宇宙放射線。極端な温度環境。地上のデータセンターとは違う敵が、宇宙には山ほどいる。
Googleはすでに振動試験や、UC Davisの施設でTPUを動かしながら陽子線を当てる放射線試験を行っている。それでも、実際の宇宙環境でTPUがどう振る舞うかは、飛ばしてみなければ分からない。
今回のミッションは、その答え合わせになる。
そもそも、なんで宇宙にデータセンター?
宇宙には、とんでもなく巨大なエネルギー源が最初からある。
太陽だ。
地上の太陽光発電は、夜になれば止まるし、雲が出れば発電量も落ちる。一方、低軌道では軌道設計によって太陽光を利用できる時間を大きく伸ばせる。GoogleはProject Suncatcherについて、地上と比べて最大8倍の太陽光発電が可能になるとしている。
AI向けデータセンターの巨大化に伴って、電力や土地など地上側のインフラ制約は無視できなくなっている。発電所を増やす。送電網を増強する。巨大な土地を確保する。
Googleが研究しているのは、その延長線だけではない。
「だったらコンピューターの方を宇宙へ持っていけばいい」
という、なかなか豪快な発想だ。
ただし、宇宙は冷やすのがめちゃくちゃ難しい
宇宙空間はほぼ真空だ。つまり、PCのファンのように空気を流して熱を逃がすことができない。
AIチップは大量の熱を発生させる。地上では空気や冷却液を使って熱を運べるが、宇宙では最終的に熱を放射として外へ捨てなければならない。
Googleが今回試すのは、ヒートパイプで熱を運び、ラジエーターから熱放射として宇宙へ逃がす方式だ。すでに地上の熱真空チャンバーでも試験しているが、今回は本物の宇宙環境で性能を確認する。

※仕組みを分かりやすくするための概念図です。実際の衛星の写真や設計図ではありません。
つまり宇宙データセンターは、
「太陽光取り放題! 宇宙は寒い! 冷却も楽勝!」
という単純な話ではない。むしろ、
電気は取りやすい。でも熱を捨てるのが難しい。
地上とはまったく違うゲームになる。
