この会話、もしかするとこれからのネット広告を考えるうえで、かなり重要なのかもしれない。
ChatGPTに広告が入ると、なぜモヤッとするのか
ChatGPTはこれまで、多くの人にとって「広告を見る場所」ではなく、「知りたいことの答えを取りに行く場所」だった。 だからこそ、ここに広告が入ると少し身構えてしまう。
本当におすすめしているのか。 広告主に引っ張られていないか。 答えの信頼性は変わらないのか。
この不安はかなり自然だと思う。 実際、広告が関係ない内容だったり、押しつけがましかったりすると、ただのノイズにしか見えない。
でも、ここで少し視点を変えると、別の見え方も出てくる。
その少し前、ChatGPTは“買い物の入口”になり始めていた
2026年10月1日、OpenAIはChatGPTのショッピング機能に新しい体験を追加した。 服やアクセサリーの商品ページで「Try on(試着)」ボタンを押すと、自撮り写真を使ってバーチャル試着画像を作れるようになったのだ(Yuna OrbitでもYunaのイラストで実際に試してみた)。
つまりChatGPTは、単に商品リンクを並べる場所から、
- 商品を探す
- 候補を比較する
- 試着する
- 気に入った商品を保存する
という流れを支える場所へ少しずつ進んでいる。
さらに、一部の対象商品や加盟店では、ChatGPT内で購入まで進めるInstant Checkoutが利用できる場合もある。ただし現在のショッピング体験全体を見ると、OpenAIが特に強化しているのは“ChatGPTの中で何を買うかを探し、比較し、決める”商品発見側の体験だ。
実際、OpenAIは2026年3月24日のショッピング刷新で、商品を画像で見ながら探したり、価格やレビューを並べて比較したりできる体験を打ち出した。そのうえで、今後は商品探しに力を入れ、購入については販売者が自分たちのチェックアウトを使えるようにしていく方針を示している。
ここまでくると、ChatGPTは単なる検索窓ではなく、商品を探して比べ、試着して、購入先へつないでいく“買い物の入口”として振る舞い始めていると言える。
10月5日、OpenAIは新しい「ビジュアル広告」を発表
ChatGPTの広告そのものは、実は今回が初めてではない。 OpenAIは2026年2月9日に米国で広告のテストを始め、その後、対象の地域を段階的に広げている。日本の広告主も、OpenAIの広告管理ツール(Ads Manager)から出稿できるようになっている。
ログイン済みでは、広告が表示される可能性があるのは無料版とGoプラン。Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduの各プランには表示されず、18歳未満と判断されたアカウントにも表示されない。
そして2026年10月5日、OpenAIは新しいビジュアル広告フォーマットを発表した。 商品の使い方や、それによって実現する体験を画像で見せるタイプの広告で、まずはChatGPTで画像を生成している間に表示する形で、今月後半から米国の一部広告主を対象にテストするという。広告であることを明示し、生成中の画像とは分けて表示するとしている。
しかも今回の発表は広告フォーマットだけではない。効果測定のツールやパートナーとの連携を広げ、広告が表示される環境がブランドに合っているかを確かめる新しい仕組みも開発中だという。広告フォーマットだけでなく、効果測定やブランド適合性まで含めて広告基盤を拡充している。
OpenAIによれば、ChatGPTは毎週12億人が利用している。これだけ大きなプラットフォームで、商品探しや意思決定の流れに広告が入っていく影響は小さくない。
これまでの広告も、ChatGPTの回答の下に表示され、広告主名、見出し、説明文、リンク先、画像などで構成されている。 表示する広告は、今の会話の文脈や意図をもとに選ばれ、広告のパーソナライズが有効な場合には、過去のチャットやメモリなど、ChatGPT全体での利用状況から選ばれた一部のシグナルも使って関連性を高めると説明されている。
この説明だけ見ると、「ChatGPTの広告がまた増えるのか」で終わりそうだ。 でもOpenAI自身、今回のアップデートを「ユーザーがChatGPTで商品やサービスを見つけ、選択肢を比較し、意思決定できるよう支援する」という、より大きな目標の一部と位置づけている。 ショッピング機能の流れと合わせて見ると、話は少し変わってくる。
ここからは考察だが、3月の刷新で決済そのものより商品発見・比較を前面に出してきた流れを考えると、今回の広告も、その場で無理に買わせるというより、ユーザーの商品発見を助ける方向と相性がいいように見える。
