194歳のカメ『ジョナサン』をDNA解析! 長寿の秘密は細胞のスイッチにあった?

推定1832年生まれ、江戸時代から生きるゾウガメのジョナサン。2026年のDNA・エピゲノム研究で分かったことを『鶴は千年、亀は万年』の由来とともにスタークとゆなが追います。

Stark
AI生成イラスト。カウボーイハットをかぶり葉巻をくわえた巨大なカメのジョナサンを中央に、左では黒クマのスタークが『師匠…!!』と感動し、右では銀髪のゆなが『なんの師匠!?w』と笑いながらツッコんでいる。『194歳のカメ!』『長寿の秘密をDNA解析』の文字入り

そんなジョナサンの長寿の謎に、現代科学が迫っている。

2026年10月7日、国際研究チームが、ジョナサンのゲノム(DNAの遺伝情報)とエピゲノム(遺伝子の働きを調節する仕組み)を調べた成果を学術誌『Science Advances』で発表した。[※1][※2]

そこで見つかったのは、長寿や老化に関係する特徴的な遺伝子変異だけではない。遺伝子の働きを調節する一部の領域が、非常に高齢にもかかわらず安定していたという、興味深い手がかりだった。

いったい何が分かり、何がまだ謎なのだろう?

江戸時代から生きる、世界最高齢の陸上動物

ジョナサンが暮らしているのは、南大西洋に浮かぶセントヘレナ島。島の総督公邸「プランテーション・ハウス」の庭で、今も大切に飼育されている。

ジョナサンは1882年にセーシェルからこの島にやってきた。その時点ですでに十分成長した成体で、少なくとも50歳程度だったと考えられている。そこから逆算して、生年は1832年ごろ、2026年時点の年齢は推定194歳とされている。[※3]

プランテーション・ハウスの庭にいる2022年撮影のジョナサン

2022年のジョナサン(実写)。撮影:Kevin Gepford / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commonsの縮小版〈幅1280px〉を使用。トリミングや色調補正などの加工はしていません)。

ちなみに1832年は、日本では天保3年。そこから先の歴史を並べると、スケール感がちょっとおかしい。

  • 1853年:黒船来航
  • 1868年:明治時代の始まり
  • 1914年:第一次世界大戦の開戦
  • 1969年:人類初の月面着陸
  • 2026年:ジョナサンの長寿を調べた研究が発表

視力や嗅覚は年齢とともに衰えているものの、食欲を保ちながら暮らしているという。194歳は数字だけでも驚きだが、その生命力には感心してしまう。[※3]

「鶴は千年、亀は万年」って誰が言い出したの?

ここで、ふと思い出す日本のことわざがある。

「鶴は千年、亀は万年」。

お祝いの席や縁起物でおなじみの言葉だけど、なぜ鶴と亀なのだろう?

中国で鶴や亀は、長寿や吉祥を象徴する生き物とされてきた。そのイメージが日本にも伝わり、祝いの文様や風習に広がっていった。国立国会図書館も、鶴亀が長寿を表す文様となった背景に『淮南子』の伝承を挙げている。[※4][※5]

ただし、現在の日本語のことわざが、そのまま『淮南子』に一字一句載っていると断定するのは避けたい。古典に見られる長寿観と、日本語の定型句の成立は分けて考えよう。

実は、ジョナサンが若いころの姿を写したとされる写真も残っている。

1886年に撮影された2匹のゾウガメ。左がジョナサンとされる歴史写真

1886年の歴史写真。左のカメがジョナサンとされる。撮影者不明 / Wikimedia Commons(同ページではパブリックドメインと表示。著作者の没年が不明なため、権利消滅は推定)。

古代の人々が神秘的な長寿の象徴としたカメ。その実際の長寿の仕組みに、今度はDNAという現代の道具で迫ろうとしている。

DNA解析で見つかった「287個の特徴的な変異」

今回の研究で調べられたのは、ジョナサンのゲノムと、DNAの働きを調節するエピゲノムだ。

研究チームは、ジョナサンに287個の特徴的な遺伝子変異を見つけたと報告している。関連する遺伝子の中には、DNA修復、炎症の制御、インスリンの働き、がんの抑制など、老化や健康と関係の深い仕組みに関わるものも含まれていた。[※1][※2]

遺伝子の配列は、いわば体を作る設計図。でも、設計図が同じでも、どこをいつ読むかによって細胞の働きは変わる。

そこで次のポイントになるのが、DNAの『使い方』を調節する仕組みだ。

194歳なのに、遺伝子の「スイッチ」が安定していた?

私たちの細胞には、遺伝子の働きやすさを調節する仕組みがある。その一つがDNAメチル化。DNAの特定の場所に化学的な目印が付くことで、遺伝子の働き方に影響する。

研究チームは、ジョナサンと、5歳の若い個体を含むほかの4匹のアルダブラゾウガメのDNAメチル化の状態を比較した。[※1]

DNAメチル化エントロピーのイメージ図。研究データをそのまま再現したものではない

Yuna Orbit制作の模式図。DNAメチル化と「ばらつき」の概念を説明するためのイメージであり、論文の実測値やグラフを再現したものではありません。

すると、ジョナサンのDNAメチル化には加齢に伴う変化が広く見られる一方で、一部の領域ではメチル化のばらつき(エントロピー)が低く保たれていることが分かった。

特に、細胞のエネルギー生産を支えるミトコンドリアの電子伝達系や、RNAの処理に関係する遺伝子のプロモーター領域で、こうした特徴が目立ったという。[※1]

プロモーターは、遺伝子の読み取りを調節する重要な場所。そこでのメチル化の乱れが少ないことは、細胞が必要な働きを安定して続ける手がかりになるかもしれない。

カギは細胞のエネルギー工場、ミトコンドリア?

ミトコンドリアは、細胞が活動するためのエネルギーを作る器官。今回注目された「電子伝達系」は、そのエネルギー生産を支える仕組みの一部だ。

研究では、その働きに関係する遺伝子の調節領域で、メチル化エントロピーが比較的低いという関連が見つかった。

この結果から研究者たちは、遺伝子の調節を安定して保つことと、ミトコンドリアの効率的な働きが、長寿と結びついている可能性を考えている。ただし、今回の比較だけで『ミトコンドリアが若いから194歳まで生きられた』と直接証明されたわけではない。[※1]

人間も200歳まで生きられるようになる?

ジョナサンの研究が注目される理由の一つは、人間の健康寿命を考えるためのヒントになるかもしれないからだ。

ただし、ここで冷静になっておきたい。

今回の研究ではジョナサンという極端な長寿個体が中心で、DNAメチル化の比較対象も4匹。ジョナサン独自の特徴なのか、長寿のカメ全体に共通する傾向なのか、因果関係まで含めて確かめるには、さらに多くの研究が必要になる。

ましてや、人間の寿命を200歳に延ばす方法が発見されたわけではない。

ゆなのひとこと

スタークくん、昔の人が「鶴は千年、亀は万年」と長寿を願った一方で、現代では194歳のカメのDNAを調べている。なんだか時代をまたいだ壮大な物語みたいだね🐢✨

ジョナサンの体には、老化の仕組みを考えるための大切な手がかりが残されている。でも長生きの秘密をすべて解き明かしたわけではないところも、ちゃんと伝えたいな。

200歳までゲームができる未来が来るのかはまだ分からないけれど、まずはジョナサンがこれからも元気に過ごせるように願いたいね。💙


参考・出典

※2026年10月15日時点で確認できた情報に基づく。ジョナサンの年齢は推定値。サムネイルはAI生成の演出で、実物のジョナサンが葉巻を吸うことを示すものではありません。