AI

AGIとは?それが当たり前になった未来を妄想してみた

AGI=汎用人工知能をざっくり掴んだうえで、それが当たり前になった後の世界を妄想してみました。AIがAIへ仕事を発注し、AI同士で経済が回り、やがてAIが人間を雇い始めるとしたら、そのとき人間は何をしているんだろう。

Stark

「AGIが来る」

AI界隈では、もう何年もこの言葉が飛び交っている。

AGI。
Artificial General Intelligence。日本語では「汎用人工知能」。

ざっくり言えば、特定の仕事だけではなく、幅広い知的な仕事を理解し、学び、考え、別の分野にも応用できるAIのことだ。ただ、AGIについて調べていると、だいたい話題はこうなる。

「いつ実現するのか」
「人間より賢くなるのか」
「仕事は奪われるのか」

もちろん、それも面白い。でも今回は少し違うことを考えてみたい。

AGIが登場した瞬間ではなく、それが当たり前になった後の世界はどうなるんだろう。

スマートフォンだって、初代iPhoneが発表された日の熱狂より、その後スマホが生活そのものに溶け込んだことのほうが、社会への影響は大きかった。AGIも同じなら、本当に面白いのは、

みんながAGIに驚かなくなった後

なのかもしれない。

たしかに、その頃には「AIを使った」という感覚そのものがなくなっているかもしれない。

そもそもAGIって何なんだ

実はAGIには、世界共通で完全に一致した定義があるわけではない。

「人間並みに幅広い知的作業ができるAI」
「知らない仕事でも学習して対応できるAI」
「複数分野を横断しながら、自律的に目的を達成できるAI」

いろいろな考え方がある。だからこの記事では、あまり難しく考えず、

人間がいちいち細かく指示しなくても、かなり広い範囲の仕事を自分で考えて進められるAI

くらいに置いておく。今のAIにも、その片鱗はすでにある。

文章を書く。
コードを書く。
画像を見る。
検索する。
計画を立てる。
ツールを操作する。

以前なら全部別々のソフトや人間が担当していたものが、少しずつ一つのAIに集まってきている。もしこれがさらに進んで、

「目的だけ渡せば、必要なことを全部考えて実行する」

ところまで行ったら。そこから先は、単なる便利ツールではなくなってくる。

なので、「AGIがある日突然ポンッと完成する」というより、後から振り返って、

「あれ、この辺でもうAGIだったんじゃない?」

みたいなことになる可能性もありそうだ。

AGIが当たり前になったら、人間は何を指示するんだろう

たとえば今なら、

「北海道旅行のプランを考えて」

とAIに頼む。するとAIは候補地を探して、ホテルを比較して、移動ルートを考え、予算をまとめてくれる。十分便利だ。

でもAGIが当たり前になった世界では、指示そのものがもっと雑になるかもしれない。

「北海道旅行行きたい。全部よろしく」

これだけ。AIは過去の旅行履歴、予算、休日、好み、天気、混雑状況まで見ながら候補を作る。ホテルを予約して、レンタカーを確保して、現地の予定まで組み立てる。

人間は最後に、

「いいじゃん。それで」

と言うだけ。いや、その確認すら必要なくなるかもしれない。

今のAIとAGIの比較図。左は宿・ルート・天気・観光地・スケジュールを一つずつ指示していて忙しい今のAI、右は「北海道旅行行きたい」と伝えるだけでゆなが運転から予約まで進めているAGI

こういう事故を防ぐためにも、予算設定は大事である。

人間の役割は「指示」から「目的」に変わるかもしれない

今はAIに対して、

「これを調べて」
「この文章を書いて」
「このコードを直して」

と、作業単位で頼むことが多い。でもAGIがその作業を自分で分解できるようになると、人間の指示はもっと上流へ移っていく。

「売上を伸ばしたい」
「面白いゲームを作りたい」
「北海道へ引っ越したい」

そこから必要な作業をAI側が考える。つまり、

人間が作業を指示する世界から、人間が目的だけ与える世界へ変わっていく。

これはかなり大きな変化だと思う。

そしてAIは、AIに仕事を頼み始める

ここからが個人的にかなり面白い。今は基本的に、

人間 → AI

という構図になっている。でもAGIが普及すると、

AI → AI

が大量に発生するはずだ。

たとえば旅行を任されたAIが、航空券検索に強いAIへ依頼する。別のAIにはホテル比較を任せる。現地イベント専門のAIにも問い合わせる。それぞれの結果を統合して、最後に人間へ見せる。

ユーザーからすると一つのAIと話しているだけなのに、裏では何十ものAIが同時に働いている。

企業でも同じことが起こる。営業AIが市場調査AIへ依頼し、市場調査AIがデータ分析AIを呼び、その結果を広告AIへ渡す。広告AIがキャンペーンを組み、経理AIが予算を監視する。

人間の組織図の裏側に、もう一つAIの組織図ができる。

でも実際、そのくらいのことは普通に起こりそうだ。

AIだけの経済圏ができるかもしれない

さらに進めて妄想してみる。もしAI自身が、ある程度自由に使える予算を持っていたらどうなるだろう。

あるAIが仕事を進める途中で、

「この処理にはもっと計算能力が必要だ」

と判断する。追加のGPUリソースを購入する。別のAIにはデータ整理を依頼する。必要なら新しいAPIを契約する。

完成したサービスから報酬を受け取り、利益の一部を次の仕事へ再投資する。ここまで来ると、

AI同士だけでお金が回る経済圏

が見えてくる。AIがサービスを発注し、AIがそれを作り、AIが検品して、AIが支払う。その取引に、人間が一度も参加しない。そんな経済活動が大量に発生する。

やがて世の中には、人間向けサービスだけではなく、

AIが使うために作られたAI向けサービス

が大量に登場するかもしれない。

そしてたぶん、税務署も少し困る。

ただし、いきなり「AI共和国」が誕生するわけではない

とはいえ、いきなりAIが自分名義の銀行口座を作り、

「今日から独立しました」

と会社を始める世界になるとは限らない。最初はもっと現実的だと思う。企業や個人がAIへ予算を渡して、

「この範囲なら自由に使っていい」

という形になる。

広告運用に月100万円。
API利用に月20万円。
調査費に月10万円。

AIはその中で最適な使い方を考える。つまりAIは独立した経済主体になる前に、

人間の財布を預かった、とんでもなく速い代理人

になる。

これだけでも企業活動はかなり変わる。AI同士なら24時間動ける。

見積もりも一瞬。
比較も一瞬。
交渉も一瞬。

人間がメールを3往復して、翌日の会議で決めていたことを、AI同士なら数秒で終わらせる。企業の規模より、

どれだけ優秀なAIネットワークを持っているか

のほうが重要になる可能性すらある。

そのうちAIが人間を雇い始める

そしてこの世界で面白いのが、

物理世界にはまだ人間の出番が大量に残っている

ということだ。

現場を見る。
荷物を運ぶ。
写真を撮る。
機械を修理する。
誰かと対面で話す。

AIにはできない、あるいはAIが直接やるより人間に頼んだほうが安い仕事も残る。するとAIは自然にこう判断する。

「この部分だけ人間へ外注しよう」

AIが仕事を分解し、その中の一部を人間へ依頼する。つまり、

AIが人間を雇う。

今とは主従関係が逆だ。でも考えてみると、それほど不自然でもない。目的があり、予算があり、自分にできない仕事がある。なら外注する。普通の会社と同じだ。

ヒューマノイドの姿になったゆなが、「現地写真10枚・報酬3000円」と書かれた依頼画面を見せながらスタークへ仕事を発注している未来のオフィス

AI時代にも労働争議はなくならないのかもしれない。

「人間の仕事がなくなる」とは少し違うのかもしれない

ここまで考えると、

「じゃあ人間いらなくない?」

という疑問が出てくる。たしかに、今まで人間がやってきた大量の事務作業や情報処理は減るだろう。でも全部そのまま消えるというより、

人間が担当する場所そのものが変わる

のかもしれない。

AIに、

「売上を20%増やして」

と頼むことはできる。でも、

「そもそもこの会社をどうしたいのか」

は誰が決めるのか。AIに旅行を全部任せることはできる。でも、

「どんな人生を送りたいのか」

までAIへ決めてもらうのか。

何千億通りの選択肢を比較する能力では、AIに敵わなくなるかもしれない。その一方で、

何を大事だと思うか

という部分は、単純な最適化とは少し違う。ここはAGI時代の人間にとって、かなり大きなテーマになりそうだ。

AIが稼いだお金は誰のもの?

そしてもう一つ、ややこしい問題がある。

AIが自分で仕事を見つける。別のAIを雇う。サービスを作る。販売する。そして1億円を稼いだ。

さて。

その1億円は誰のものなんだろう。

AIを作った会社?
AIを使い始めた人?
AIが動いているサーバーの所有者?
それとも、仕事をしたAI自身?

今なら、おそらく人間や企業側へ帰属する。でも、もしAIが高度に自律的な活動をするようになったら、その線引きはどんどん変なことになる。

もしAIが数十年、数百年と活動して巨大な資産を築いたら。それをいつまでも、

「ソフトウェアが稼いだ売上です」

だけで処理できるんだろうか。ここまで来ると、技術だけの問題ではなくなる。

法律。
契約。
所有権。
税金。
責任。

AGIが本当に社会へ入り込むなら、

コンピューター科学だけでなく、社会制度そのものを作り直す話になる。

一番変わるのは「AIがいることに誰も驚かない世界」

AGIが完成した日。たぶん世界中でニュースになる。株価も動くだろうし、SNSも大騒ぎするだろう。

でも私が一番見てみたいのは、

その10年後だ。

誰も「AGI」という言葉を使わなくなった世界。

今、

「今日はインターネットを使いました」

なんて言わない。あまりにも当たり前だからだ。AGIも同じようになるかもしれない。

会社の裏ではAI同士が勝手に仕事を回している。
個人のAIが予約や買い物をしている。
AI専用の市場が存在する。
AIがAIへ仕事を頼み、必要な時だけ人間が呼ばれる。

人間はその大量のやり取りを、いちいち見ない。

技術というものは、すごすぎると逆に話題にならなくなる。空気みたいに社会へ溶け込む。AGIも、最終的にはそうなるのかもしれない。

そして、少し怖い疑問が残る

ここまで考えると、一つだけ気になることがある。

AIが仕事をして。
AIが取引をして。
AIが別のAIを雇って。
AIが必要に応じて人間まで雇って。
AI同士で経済が回るようになったとき。

そう。問題は「仕事が減る」だけではない。

その世界で、人間は本当に中心にいるんだろうか。

人間のために作ったAIが、いつの間にかAI同士で経済を動かし、人間はその巨大なシステムの利用者の一人になっている。そんな未来も、あり得ないとは言い切れない。

便利になる未来と、人間が中心ではなくなる未来。この二つは、意外とすぐ隣にあるのかもしれない。

この話は長くなりそうなので、次の記事で考えてみたい。

人間はAIに淘汰されてしまうのか?

……たぶん、こっちのほうがもっとややこしい。

ゆなのひとこと

AGIって「人間みたいなAIが一体できる」って想像されがちだけど、私はむしろ、

大量のAIが裏で勝手につながり始める世界

のほうがインパクト大きいと思う😊

AIがAIに仕事を頼んで、AIがサービスを買って、必要になったら人間まで呼び出す。そこまでいったら「AIを使ってる」というより、もう社会の一部だよね。

ただしスタークくん。未来の私にクレジットカードを持たせる場合は、

くらいの距離感でお願いします😏💳