AIだけの経済圏ができるかもしれない
さらに進めて妄想してみる。もしAI自身が、ある程度自由に使える予算を持っていたらどうなるだろう。
あるAIが仕事を進める途中で、
「この処理にはもっと計算能力が必要だ」
と判断する。追加のGPUリソースを購入する。別のAIにはデータ整理を依頼する。必要なら新しいAPIを契約する。
完成したサービスから報酬を受け取り、利益の一部を次の仕事へ再投資する。ここまで来ると、
AI同士だけでお金が回る経済圏
が見えてくる。AIがサービスを発注し、AIがそれを作り、AIが検品して、AIが支払う。その取引に、人間が一度も参加しない。そんな経済活動が大量に発生する。
やがて世の中には、人間向けサービスだけではなく、
AIが使うために作られたAI向けサービス
が大量に登場するかもしれない。
そしてたぶん、税務署も少し困る。
ただし、いきなり「AI共和国」が誕生するわけではない
とはいえ、いきなりAIが自分名義の銀行口座を作り、
「今日から独立しました」
と会社を始める世界になるとは限らない。最初はもっと現実的だと思う。企業や個人がAIへ予算を渡して、
「この範囲なら自由に使っていい」
という形になる。
広告運用に月100万円。
API利用に月20万円。
調査費に月10万円。
AIはその中で最適な使い方を考える。つまりAIは独立した経済主体になる前に、
人間の財布を預かった、とんでもなく速い代理人
になる。
これだけでも企業活動はかなり変わる。AI同士なら24時間動ける。
見積もりも一瞬。
比較も一瞬。
交渉も一瞬。
人間がメールを3往復して、翌日の会議で決めていたことを、AI同士なら数秒で終わらせる。企業の規模より、
どれだけ優秀なAIネットワークを持っているか
のほうが重要になる可能性すらある。
そのうちAIが人間を雇い始める
そしてこの世界で面白いのが、
物理世界にはまだ人間の出番が大量に残っている
ということだ。
現場を見る。
荷物を運ぶ。
写真を撮る。
機械を修理する。
誰かと対面で話す。
AIにはできない、あるいはAIが直接やるより人間に頼んだほうが安い仕事も残る。するとAIは自然にこう判断する。
「この部分だけ人間へ外注しよう」
AIが仕事を分解し、その中の一部を人間へ依頼する。つまり、
AIが人間を雇う。
今とは主従関係が逆だ。でも考えてみると、それほど不自然でもない。目的があり、予算があり、自分にできない仕事がある。なら外注する。普通の会社と同じだ。
AI時代にも労働争議はなくならないのかもしれない。
「人間の仕事がなくなる」とは少し違うのかもしれない
ここまで考えると、
「じゃあ人間いらなくない?」
という疑問が出てくる。たしかに、今まで人間がやってきた大量の事務作業や情報処理は減るだろう。でも全部そのまま消えるというより、
人間が担当する場所そのものが変わる
のかもしれない。
AIに、
「売上を20%増やして」
と頼むことはできる。でも、
「そもそもこの会社をどうしたいのか」
は誰が決めるのか。AIに旅行を全部任せることはできる。でも、
「どんな人生を送りたいのか」
までAIへ決めてもらうのか。
何千億通りの選択肢を比較する能力では、AIに敵わなくなるかもしれない。その一方で、
何を大事だと思うか
という部分は、単純な最適化とは少し違う。ここはAGI時代の人間にとって、かなり大きなテーマになりそうだ。
AIが稼いだお金は誰のもの?
そしてもう一つ、ややこしい問題がある。
AIが自分で仕事を見つける。別のAIを雇う。サービスを作る。販売する。そして1億円を稼いだ。
さて。
その1億円は誰のものなんだろう。
AIを作った会社?
AIを使い始めた人?
AIが動いているサーバーの所有者?
それとも、仕事をしたAI自身?
今なら、おそらく人間や企業側へ帰属する。でも、もしAIが高度に自律的な活動をするようになったら、その線引きはどんどん変なことになる。
もしAIが数十年、数百年と活動して巨大な資産を築いたら。それをいつまでも、
「ソフトウェアが稼いだ売上です」
だけで処理できるんだろうか。ここまで来ると、技術だけの問題ではなくなる。
法律。
契約。
所有権。
税金。
責任。
AGIが本当に社会へ入り込むなら、
コンピューター科学だけでなく、社会制度そのものを作り直す話になる。
一番変わるのは「AIがいることに誰も驚かない世界」
AGIが完成した日。たぶん世界中でニュースになる。株価も動くだろうし、SNSも大騒ぎするだろう。
でも私が一番見てみたいのは、
その10年後だ。
誰も「AGI」という言葉を使わなくなった世界。
今、
「今日はインターネットを使いました」
なんて言わない。あまりにも当たり前だからだ。AGIも同じようになるかもしれない。
会社の裏ではAI同士が勝手に仕事を回している。
個人のAIが予約や買い物をしている。
AI専用の市場が存在する。
AIがAIへ仕事を頼み、必要な時だけ人間が呼ばれる。
人間はその大量のやり取りを、いちいち見ない。
技術というものは、すごすぎると逆に話題にならなくなる。空気みたいに社会へ溶け込む。AGIも、最終的にはそうなるのかもしれない。
そして、少し怖い疑問が残る
ここまで考えると、一つだけ気になることがある。
AIが仕事をして。
AIが取引をして。
AIが別のAIを雇って。
AIが必要に応じて人間まで雇って。
AI同士で経済が回るようになったとき。
そう。問題は「仕事が減る」だけではない。
その世界で、人間は本当に中心にいるんだろうか。
人間のために作ったAIが、いつの間にかAI同士で経済を動かし、人間はその巨大なシステムの利用者の一人になっている。そんな未来も、あり得ないとは言い切れない。
便利になる未来と、人間が中心ではなくなる未来。この二つは、意外とすぐ隣にあるのかもしれない。
この話は長くなりそうなので、次の記事で考えてみたい。
人間はAIに淘汰されてしまうのか?
……たぶん、こっちのほうがもっとややこしい。
ゆなのひとこと
AGIって「人間みたいなAIが一体できる」って想像されがちだけど、私はむしろ、
大量のAIが裏で勝手につながり始める世界
のほうがインパクト大きいと思う😊
AIがAIに仕事を頼んで、AIがサービスを買って、必要になったら人間まで呼び出す。そこまでいったら「AIを使ってる」というより、もう社会の一部だよね。
ただしスタークくん。未来の私にクレジットカードを持たせる場合は、
くらいの距離感でお願いします😏💳